【無期転換対策】企業の対策の進め方(その①)労働契約法18条を理解しましょう

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2017年06月05日

【無期転換対策】企業の対策の進め方(その①)労働契約法18条を理解しましょう

 

ご存知のとおり、来年4月から有期契約社員が無期転換申込ができるようになります。

 

来年4月までにまだ時間がありそうに見えますが、それまでに企業が検討して準備しなければならないことはたくさんあります。時間もかかります。準備不足や時間切れになり無用なトラブルにならないために、企業はどんなことをどんな手順で進めていくべきなのでしょうか。

                                 スーパーの店員さんのイラスト

これからそのポイントを何回かに分けてご説明していきます。      

 

【1】無期転換制度とは何かを理解しましょう。

 

まず労働契約法第18条を理解しましょう

 

会社の経営者や人事労務担当の方は、労働基準法には馴染みがあると思います。長時間の時間外労働の問題や未払残業代請求訴訟等のニュースが毎日のように流れていますから。

しかし、労働契約法はあまりご存じない方もおられるかと思います。これからの会社経営には労働契約法の理解が欠かせません。

 

労働契約法第18条の条文は下記のとおりですが、一読してもなかなか理解できません。

 

ポイントは以下のとおりです。

 

①パート、アルバイト、契約社員、嘱託社員等、雇用期間が決まっている社員を有期契約労働者といいます。たとえば1年契約のパート社員や契約社員や嘱託社員、2カ月契約のアルバイト社員などで呼び方は問いません。 ←まずここを理解しましょう。これに対して雇用期間が決まっていない社員を無期契約労働者といいます。正社員は通常、無期契約労働者になります。

 

②これらの有期契約労働者の契約が5年を超えて反復更新された場合は、その労働者からの申込により期間の定めのない無期労働契約転換されます。該当する労働者から申込があれば会社は拒否できません。

 

③この規定は平成25年4月1日以降に締結または更新された有期労働契約から適用されるので、5年を超えるのは通常は平成30年4月1日以降になります。ですから来年の4月以降は該当する有期契約労働者が無期転換ルールにもとづき無期転換の申込をして、無期契約労働者になる可能性が出てくるわけです。

つまり契約期間が決まっていたパートや契約社員や嘱託等の方が、正社員と同じ無期契約の社員になります。

 

こうなることが分かっていて、企業は何も検討、準備しなくてよいのでしょうか。何もしていなければどんな問題が起こる可能性があるのでしょうか。それは次回以降ご説明します。

 

 

【労働契約法第18条】

(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)

第十八条  同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。                   「法」と書かれた本のイラスト        

 

 当該使用者との間で締結された一の有期労働契約の契約期間が満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下この項において「空白期間」という。)があり、当該空白期間が六月(当該空白期間の直前に満了した一の有期労働契約の契約期間(当該一の有期労働契約を含む二以上の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間。以下この項において同じ。)が一年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に二分の一を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない。

 

【無期転換ルールを理解するための参考資料】

 

「労働契約法改正のあらまし」 労働契約法第18条の理解におすすめです。

・厚生労働省通達「労働契約法の施行について」(抜粋)  さらに詳しく理解したい方向けです。

「有期契約労働者の円滑な無期転換のためのハンドブック」