【無期転換対策】企業の対策の進め方(その⑤)新たな人事制度をどうするか

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2017年06月29日

【無期転換対策】企業の対策の進め方(その⑤)新たな人事制度をどうするか

 

無期転換社員の人事制度を検討する際のポイントは(その④)でご説明したとおり、以下となります。

 

会社として無期転換社員をどのようにしていきたいのか(無期転換社員に将来にわたってどのように働いてもらいたいのか)をしっかり考えて決めることです。

                                                                                         スーパーの店員さんのイラスト

考え方、方法としては主に以下が考えられます。

 

(1)有期契約に更新の上限を設けて無期転換はしない。

この方法では、更新の上限をつけると誰も入社しなくなる可能性があります。普通の人であれば更新上限がある会社より無期転換できる会社を選ぶと思われます。

この方法は、これから新規採用する社員にしか適用できません。

 

(2)労働契約法18条の無期転換だけでいく。無期転換しても労働条件は変わらず。

無期転換社員用の就業規則を作ります。または、既存の有期契約社員用の就業規則に無期転換社員に関する条項を追加します。最低限、定年の規定は入れ込む必要があります。

 

無期転換してこの会社で長く頑張って働こうと考える社員にとり、労働条件が有期契約時代と変わらないのであれば、不満が溜まる可能性があります。定年まで働けば処遇は上がっていくだろうと期待するのは自然で、それが期待できないのであれば、無期転換しても有能な社員が中途退職していくことも考えられます。

 

(3)無期転換社員になると若干労働条件がアップする制度にする。

無期転換社員用の就業規則を作ります。既存の有期契約社員用の就業規則に無期転換社員に関する条項を追加することで対応するのは困難だと思われます。

 

この場合、職責(仕事および責任)や配転の範囲等が有期契約社員時代と全く変わらずに、処遇だけ上げると労働契約法20条(期間の定めがあることを理由とする不合理な労働条件の禁止)に抵触する可能性が高くなります。

したがって、処遇などの労働条件を上げる場合は、職責や配転範囲の拡大も併せて行い、それを無期転換社員用の就業規則等で明示する(「別段の定めをする」)必要がスキップする人のイラスト(女性会社員)あります。

                                                                                 

この方式では、無期転換をした社員の処遇アップとともに職務内容や今後の人材活用(配転、キャリアアップ等)の仕組みの見直しをする必要があります。

 

そして、既存の正社員や限定正社員(職務・勤務地・時間限定等)の制度との関係も調整する必要が出てきます。既存の諸制度の見直しと修正が大幅になる場合もあります。

また、無期転換社員から正社員・限定正社員への登用制度もを検討する必要性も出てきます。