【新型コロナウイルスに関する労働問題】シフト制のアルバイト・パート社員 毎月の所定労働日数が決まっていない場合の休業手当 

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2020年05月23日

【新型コロナウイルスに関する労働問題】シフト制のアルバイト・パート社員 毎月の所定労働日数が決まっていない場合の休業手当 

ワンオペのイラスト(男性)

シフト制のアルバイト・パート社員の雇用契約書では「所定労働日はシフトによる」と定めているだけで、その都度話し合って決めてきたので、毎月の所定労働日数が決まっていないことがあります。

 

今回の新型コロナウイルスで、店舗を全面休業した場合、シフト制のアルバイト・パート社員にも休業手当は支払うべきなのでしょうか。

 

労働問題に詳しい杜若経営法律事務所が公開している資料では、これに関して以下の説明をしています。

 

回答 これまでのシフトの実績からして、仮に新型コロナウイルスによる影響がなければシフトに入り勤務をしていた可能性が高いのであれば、休業手当を支払うべきです。

 

[解説]
非常に難しい論点で裁判例も通達もありません。 理論的には所定労働日が決まっていないわけですから、いつ働くか決まっておらず、そもそも休業の前提を欠くとも考えられます。

 

この考えに立てば、休業手当は不要であるとの解釈も成り立つと思います。 しかし、雇用契約書上必ずしも毎月の所定労働日数が定められていないとしても、過去の勤務実績等(例えば過去3ヶ月間の平均所定労働日や平均所定動労時間等)から「当該雇用契約上、少なくとも何日・1日あたり何時間は稼働することが予定されていた」と契約解釈がなされる可能性も十分にあり得るところです。

 

現実に新型コロナウイルスによる影響がなければシフトに入り勤務をしていた可能性が高いのであれば、休業手当を支払うべきと考えます。

 

労働法においては理屈や理論だけではなく、信義誠実の原則の適用や契約の合理的解釈等により、労働者保護を優先することがよく行われます。今回の場面などはまさしくそれに当てはまり、少なくとも裁判所は何らかの解釈を通じて休業手当を支払うよう求める可能性が高いと考えます。