【障害者雇用】「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務 に係る相談等実績(令和元年度)」が公表されました

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2020年06月23日

【障害者雇用】「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務 に係る相談等実績(令和元年度)」が公表されました

働く障害者のイラスト

厚生労働省が、都道府県労働局や公共職業安定所(ハローワーク)における「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績(令和元年度)」を公表しました。

 

公共職業安定所に寄せられた障害者差別及び合理的配慮に関する相談は 254 件で、対前年度比 2.4%の増でした。

このうち障害者差別に関する相談は 75 件で、対前年度比 21.0%の増、合理的配慮の提供に関する相談は 179 件で対前年度比3.8%の減でした。平成 28 年度の制度施行以降、相談件数は増加傾向にあります。

 

障害者雇用調停会議による調停申請受理件数は 13 件で、対前年度比 160%の増となり、調停件数は増加傾向にあります。

 

公表された障害者雇用調停会議による調停事例は以下の通りです。

 

①【合理的配慮に関する調停事例】(身体障害/清掃職)
○ 障害特性に配慮した業務量の調整等が行われなかったために、体調不良で休まざるを得なかったにも関わらず、勤務成績不良として契約が更新されず雇い止めとなった。経済的・精神的損害に対する補償金の支払いを求めたいとして調停を申請。

 

☞ 調停委員が被申請人の主張を聴取したところ、申請人との面談等が実施されておらず、被申請人も合理的配慮の取組の不足を認めた。調停委員が早期解決のため双方が譲歩可能な解決策を調整した結果、解決金を支払うこと等を内容とする調停案の受諾勧告を行ったところ、合意が成立し、解決した。

 

②【差別に関する調停事例】(身体障害/清掃職)
○ 労災による後遺症があり、現業職以外への職種転換を求めたところ認められず、解雇された。解雇は障害が理由で行われたものと考えられるため、事業所からの謝罪と補償金の支払いを求めたいとして調停を申請。

 

☞ 調停委員が被申請人の主張を聴取したところ、小規模な職場のため職種転換は困難との見解が示された一方で、申請人との話し合いの不足を認めた。調停委員が早期解決のため双方が譲歩可能な解決策を調整した結果、本人に対する謝罪と解決金を支払うこと等を内容とする調停案の受諾勧告を行ったところ、合意が成立し、解決した。

 

③【合理的配慮に関する調停事例】(身体障害/倉庫作業員)
○ 通院のための休暇取得について職場で情報共有されず、無断欠勤呼ばわりされた上、仕事が与えられないなどの扱いを受けたため、職場に居づらくなり、退職せざるを得なくなった。経済的・精神的損害に対する補償金の支払いを求めたいとして調停を申請。

 

☞ 調停委員が被申請人の主張を聴取したところ、職場内の情報伝達体制の不備があったほか、配慮のない発言があったこと、障害特性に配慮した合理的配慮が不足していたことを認めた。調停委員が早期解決のため双方が譲歩可能な解決策を調整した結果、解決金を支払うこと等を内容とする調停案の受諾勧告を行ったところ、合意が成立し、紛争が解決。

 

④【差別禁止・合理的配慮に関する調停事例】(精神障害/福祉専門職)
○ 障害を開示しないで採用されたが、試用期間中に障害が明らかになると、能力不足を理由に解雇された。障害があることを理由とした解雇と考えられ、経済的・精神的損害に対する補償金の支払いを求めたいとして調停を申請。

 

☞ 調停委員が被申請人の主張を聴取したところ、障害を把握した時点で、就労に必要な合理的配慮について申請者やその支援者と話し合うなどの対応が行われておらず、被申請人も障害特性に配慮した合理的配慮が不足していたことを認めた。調停委員が早期解決のため双方が譲歩可能な解決策を調整した結果、解決金を支払うこと等を内容とする調停案の受諾勧告を行ったところ、合意が成立し、紛争が解決。

 

当事務所は、特定社会保険労務士として、事業主、障害がある従業員の方の調停の代理人ができます。調停申立をご検討の方はご相談ください。

 

公表内容の詳細は、以下をご覧ください。

「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績(令和元年度)」(厚生労働省)