2020年10月19日
【働き方改革・同一労働同一賃金】非正規雇用職員の処遇に関する5つの最高裁判決が出ました
非正規雇用職員の処遇に関して、最高裁が5つの判決を出しました。
1.賞与に関する判決
大阪医科大学事件(令和元年(受)第1055号、第1056号 地位確認等請求事件)令和2年10月13日 第三小法廷判決
「本件大学の教室事務員である正職員に対して賞与を支給する一方で、アルバイト職員である第1審原告に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらないと解するのが相当」として、原告の請求を退けました。
2.退職金に関する判決
メトロコマース事件(令和元年(受)第1190号、第1191号 損害賠償等請求事件)第三小法廷判決
「売店業務に従事する正社員に対して退職金を支給する一方で、契約社員Bである第1審原告らに対してこれを支給しないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらないと解するのが相当である」として、原告の請求を退けました。
3.年末年始勤務手当・年始期間の勤務に対する祝日給・扶養手当に関する判決
日本郵便事件(令和元年(受)第794号、第795号 地位確認等請求事件(原審 大阪高等裁判所))第一小法廷
①年末年始勤務手当
郵便の業務を担当する正社員に対して年末年始勤務手当を支給する一方で、時給制契約社員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。
②年始期間の勤務に対する祝日給
郵便の業務を担当する正社員に対して年始期間の勤務に対する祝日給を支給する一方で、時給制契約社員に対してこれに対応する祝日割増賃金を支給しないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。
③扶養手当
郵便の業務を担当する正社員に対して扶養手当を支給する一方で、時給制契約社員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。
4.病気休暇に関する判決
日本郵便事件(令和元年(受)第777号、第778号 地位確認等請求事件(原審 東京高等裁判所))第一小法廷
私傷病による病気休暇として、郵便の業務を担当する正社員に対して有給休暇を与えるものとする一方で、同業務を担当する時給制契約社員に対して無給の休暇のみを与えるものとするという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。
5.夏期冬期休暇に関する判決
日本郵便事件(平成30年(受)第1519号 未払時間外手当金等請求控訴、同附帯控訴事件(原審 福岡高等裁判所))第一小法廷
郵便の業務を担当する正社員に対して夏期冬期休暇を与える一方で、郵便の業務を担当する時給制契約社員に対して夏期冬期休暇を与えないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。
以下で、10月13日と15日の2つの最高裁判決結論が逆となった理由について、労働問題に詳しい倉重公太朗弁護士(倉重・近衞・森田法律事務所代表)の解説をご参考までにご紹介します。
2つの最高裁判決、結論が逆となった理由~日本版同一労働同一賃金問題のその先へ~