【障害者雇用】障害者差別禁止・合理的配慮に係る相談に対する行政の対応事例のご紹介

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2021年07月26日

【障害者雇用】障害者差別禁止・合理的配慮に係る相談に対する行政の対応事例のご紹介

車椅子に乗る人と階段のイラスト

 

令和2年度の相談事例等として、厚生労働省から以下の事例が公表されています。

 

■ハローワークの助言等により対応が図られた事例

1.【合理的配慮に関する助⾔事例】(身体障害/軽作業)
(本人の家族からの相談内容)

覚えにくいという障害特性があるにもかかわらず、業務遂⾏に当たって職場の社員からの配慮はなく、また、様々な暴⾔を受けた。

(対応結果)

ハローワークによる事業所への聴取の結果、相談内容は事実であり、本人は退職を決めたが、事業所に対し本人への謝罪とともに、今後、障害者を雇用した際には、当人及び一緒に働いている社員双⽅へ状況を確認するなどの配慮を⾏う旨を助⾔し、事業所は本人及び家族に謝罪した。

 

2.【合理的配慮に関する助⾔事例】(身体障害等/技術的職業従事者)
(相談内容)

障害であることを理由に契約満了とされた。また、障害に対応した備品の提供を申し出ていたが応じてもらえなかった。
(対応結果)

ハローワークによる事業所への聴取の結果、労働契約更新に関する差別は確認されなかったが、備品が不⾜する事情があったことから、備品を使用しない別の対応を認めるなどの配慮についての助⾔を⾏った。

 

3.【合理的配慮に関する助⾔事例】(身体障害/事務職)
(相談内容)

コロナ感染防⽌対策として在宅勤務となってから通院時間が取れない。また、障害に応じた配置替えを希望したい。

(対応結果)
ハローワークより事業所に対して聴取を⾏う中、通院可能な就業時間とされた。また、人事面では制約はあるものの障害特性に応じた対応を⾏いたいとの意向であり、合理的配慮の提供義務、障害に応じた配置等に関して改めて助⾔を⾏った。

 

■障害者雇⽤調停会議による調停事例

【合理的配慮に関する調停事例】(精神障害/販売)
(申請内容)

従来担当とされなかった業務の実施を指示されるようになるが遂⾏できず、職場からのフォロー等もない中、離職を余儀なくされ、経済的・精神的損害に対する補償⾦の⽀払いを求めたいとして、調停を申請
(調停結果)

調停委員が被申請人の主張を聴取したところ、指導や業務遂⾏に関する合理的配慮の取組の不⾜を認めた。調停委員が早期解決のため双⽅が譲歩可能な解決策を調整した結果、被申請人が、企業として合理的配慮に向けた⼀層の努⼒と取組を⾏うこと、解決⾦を⽀払うこと等を内容とする調停案の受諾勧告を⾏ったところ、合意が成⽴し、解決した。

 

 

障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る紛争解決手続

●障害者に対する差別の禁止や合理的配慮の提供に関し、ハローワークが中心となって助言・指導・勧告を行います (法第36条の6)。
●事業主と障害者の間で話合いが円滑に進まず、紛争に発展した場合、当該事項に係る紛争は、都道府県労働局長が必要な助言、指導又は勧告をする(法第74条の6)とともに、創設した調停制度の対象となります(法第74条の7、8)。個別紛争解決促進法の特例として、紛争調整委員会の中に障害者雇用調停会議が設けられています。

 

雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務については、『「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績(令和2年度)」を公表しました』(厚生労働省)をご覧ください。