【労働基準関係法令違反】長時間労働が疑われる事業場に対する労働基準監督署の監督指導事例のご紹介(その1)

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2021年08月23日

【労働基準関係法令違反】長時間労働が疑われる事業場に対する労働基準監督署の監督指導事例のご紹介(その1)

労働基準監督署のイラスト

厚生労働省が、8月20日、長時間労働が疑われる事業場に対する令和2年度の監督指導結果を公表しました。

 

その中から、労働基準監督署による監督指導事例をご紹介します。

 

業種 映画・演劇業

1. 各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる大企業の事業場に対し、立入調査を実施
2.労働者5名について、36協定で定めた上限時間(特別条項:月79時間)を超え、かつ労働基準法第36条第6項に定められた時間外・休日労働の上限時間(月100時間未満、複数月平均80時間以内)を超える違法な時間外・休日労働(最長:月197時間)が認められたことから、指導を実施
3.1か月80時間を超える時間外・休日労働を⾏っている労働者に対して、医師による⾯接指導を実施する制度が導入されていなかったため、指導を実施

 

立入調査において把握した事実

1. 大企業の事業場において、労働者5名について、36協定で定めた上限時間(特別条項:月79時間)を超え、かつ労働基準法第36条第6項に定められた時間外・休日労働の上限時間(月100時間未満、複数月平均80時間以内)を超える違法な時間外・休日労働(最長:月197時間)が認められた。
2.1か月80時間を超える時間外・休日労働を⾏っている労働者に対して、医師による⾯接指導を実施する制度が導⼊されていなかった。

 

1.に対する労働基準監督署の対応

①36協定で定めた上限時間を超えて時間外労働を⾏わせたことについて是正勧告(労働基準法第32条違反)
②労働基準法第36条第6項に定められた上限時間を超えて時間外・休日労働を⾏わせたことについて是正勧告(労働基準法第36条違反)
③時間外・休日労働を月80時間以内とするための具体的な方策を検討・実施するよう指導

 

2.に対する労働基準監督署の対応
時間外・休日労働時間が1月当たり80時間を超えた全ての労働者に対し、その時間数を通知していなかったことについて是正勧告(労働安全衛生法第66条の8違反)

 

※労働者への労働時間に関する情報の通知
事業者は、時間外・休日労働時間の算定を行ったときは、当該超えた時間が1月当たり80時間を超えた労働者本人に対して、速やかに当該超えた時間に関する情報を通知しなければなりません(改正安衛規則第52条の2第3項)。この通知は、高度プロフェッショナル制度適用者を除き、管理監督者、事業場外労働のみなし労働時間制の適用者を含めた全ての労働者に適用されます。

 

ご参考

①時間外労働の上限規制(労働基準法第36条第6項第2、3号)については『時間外労働の上限規制わかりやすい解説

長時間労働者への医師への面接指導制度について