【労働基準関係法令違反】長時間労働が疑われる事業場に対する労働基準監督署の監督指導事例のご紹介(その2)

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2021年08月24日

【労働基準関係法令違反】長時間労働が疑われる事業場に対する労働基準監督署の監督指導事例のご紹介(その2)

労働基準監督署のイラスト

厚生労働省が、8月20日、長時間労働が疑われる事業場に対する令和2年度の監督指導結果を公表しました。

 

その中から、労働基準監督署による監督指導事例をご紹介します。

 

業種 小売業

1. 長時間労働を原因とする脳・心臓疾患の労災請求があった中小企業の事業場に対し、立入調査を実施
2. 脳・心臓疾患を発症した労働者について、36協定の締結・届出をせずに、時間外・休日労働(最長:月235時間)を⾏わせていたことから、指導を実施
3. 一部の労働者について、労働時間を把握していなかったことから、指導を実施

 

立入調査において把握した事実

1.脳・心臓疾患を発症した労働者について、36協定の締結・届出をせずに、違法な時間外・休日労働(最長:月235時間)を⾏わせていた。

2.一部の労働者について、労働時間を把握していなかった。

 

1.に対する労働基準監督署の対応

①36協定の締結・届出をせずに、時間外・休日労働を⾏わせたことについて是正勧告(労働基準法第32条違反)
②時間外・休日労働を月80時間以内とするための具体的な方策を検討・実施するよう指導

 

2.に対する労働基準監督署の対応

①労働時間の状況の把握を⾏っていなかったことについて是正勧告(労働安全衛生法第66条の8の3)
②「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に基づき、改善に向けた方策を講じるよう指導

 

ご参考

36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針

36協定作成支援ツール

労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

 

④労働安全衛生法「労働時間の状況の把握」に関する通達(基発1228第16号平成30年12月28日)

問8 「労働時間の状況」として、事業者は、どのようなことを把握すればよいか。
答8 新安衛法第 66 条の8の3に規定する労働時間の状況の把握とは、労働者の健康確保措置を適切に実施する観点から、労働者いかなる時間帯にどの程度の時間、労務を提供し得る状態にあったかを把握するものである。

事業者が労働時間の状況を把握する方法としては、原則として、タイムカード、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間(ログインからアウトまでの時間)の記録、事業者(事業者から労働時間の状況を管理する権限を委譲された者を含む。)の現認等の客観的な記録により、労働者の労働日ごとの出退勤時刻や入退室時刻の記録等を把握しなければならない。なお、労働時間の状況の把握は、労働基準法施行規則(昭和 22 年厚生省令第 23 号)第 54 条第1項第5号に掲げる賃金台帳に記入した労働時間数もって、それに代えることができるものである。ただし、労基法第 41 条各号に掲げる者(以下「管理監督者等」という。)並びに労基法第 38 条の2に規定する事業場外労働のみなし労働時間制が適用される労働者(以下「事業場外労働のみなし労働時間制の適用者」という。)並びに労基法第38 条の3第1項及び第 38 条の4第1項に規定する業務に従事する労働者(以下「裁量労働制の適用者」という。)については、この限りではない。