【外国人技能実習生】技能実習生の実習実施者に対する労働基準監督署等による監督指導・送検等の事例のご紹介(その1)

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2021年09月09日

【外国人技能実習生】技能実習生の実習実施者に対する労働基準監督署等による監督指導・送検等の事例のご紹介(その1)

労働基準監督署のイラスト

8月27日、厚生労働省が、全国の労働局や労働基準監督署が令和2年に外国人技能実習生(以下「技能実習生」)の実習実施者(技能実習生が在籍している事業場)に対して行った監督指導や送検等の状況を公表しました。

 

その中から、技能実習生の実習実施者に対する監督指導・送検等の事例をご紹介します。

 

【監督指導の事例】

 

【事例1】災害を契機に監督指導を実施し、フォークリフトとの接触防止等について指導

概 要   

食料品製造業の事業場において、箱詰め作業中の技能実習生がフォークリフトと接触し負傷した労働災害が発生したため、立入調査を実施したところ、フォークリフトについて、接触防止措置が講じられておらず、また、無資格者が運転していた。

 

指導内容1 フォークリフトで作業を行うときは、フォークリフト又はその荷に接触するおそれのある箇所に労働者を立ち入らせないための措置を講じなければならないことを是正勧告した。また、フォークリフト誘導時の合図について、技能実習生にもわかりやすい方法とするよう指導した。

指導事項 労働安全衛生法第20条第1号(事業者の講ずべき措置等)・労働安全衛生規則第151条の7(接触の防止)違反・フォークリフト誘導時の合図方法

指導内容2 技能講習を修了していない労働者に、最大荷重1トン以上のフォークリフトの運転の業務を行わせてはならないことについて是正勧告した。

指導事項 労働安全衛生法第61条第1項(就業制限)・労働安全衛生法施行令第20条第11号違反、労働安全衛生規則第41条

指導の結果

・接触防止のため、フォークリフトの運転時に誘導者が配置された。また、合図について技能実習生にもわかりやすいように笛を鳴らす方法とし、朝礼で周知された。
・鍵の管理を徹底することで、技能講習を修了している労働者(4名)以外によるフォークリフトの運転を防止することとした。

 

【事例2】 監督指導を実施し、割増賃金の不払について指導

概 要

繊維・衣服製造業の事業場に対し立入調査を実施したところ、技能実習生の時間外労働に対し、入国後一定の期間、1時間当たり500円の賃金しか支払っておらず、法定の率で計算した割増賃金を支払っていなかった。

 

指導内容 法定の割増率(時間外労働は25%)以上で計算した割増賃金を支払わなければならないことを是正勧告した。

指導事項 労働基準法第37条第1項違反(割増賃金の支払)

指導の結果 支払うべき割増賃金を再度計算し、技能実習生6名に対し、入国後一定の期間分の法定の割増賃金との差額として総額約87万円が支払われた。

 

【事例3】外国人技能実習機構からの通報を端緒に監督を実施し、不適切な賃金控除等について指導

 

概 要 農業を営む事業場において、賃金の計算方法等に問題がある旨の外国人技能実習機構からの通報があったため、所轄労基署が立入調査を実施した。この結果、技能実習生の賃金について、一部の労働時間分が計上されておらず、また、実費以上に水道光熱費が控除されているほか、社会保険料についても法定以上に控除されていた。年次有給休暇管理簿が作成されていなかった。

 

指導内容1 労働時間に計上されていない分の賃金を支払わなければならないこと及び認められている以上の金額を控除してはならないことを是正勧告した。 

指導事項 労働基準法第24条第1項違反(賃金の支払)

指導内容2 年次有給休暇管理簿を作成し、有給休暇の取得日数等を記録するよう是正勧告した。

指導事項 労働基準法施行規則第24条の7違反

指導の結果 支払われていなかった賃金が支払われるとともに、賃金控除額も適正なものとなった。年次有給休暇管理簿が作成され、有給休暇の取得日数等が記録されるようになった。

 

【事例4】労働災害を防止するため、機械等の安全措置・点検実施について指導

 

概 要 機械器具を製造する事業場に対して立入調査を実施したところ、技能実習生も使用するベルトサンダー(金属を研磨するための機械)について身体が巻き込まれるおそれがあるローラーの箇所に覆い等が設けられておらず、天井クレーンについても法定点検が実施されていなかった。また、玉掛用具として使用する繊維ベルトにも著しい損傷が認められた。

 

指導内容1 機械のうち、労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所について、覆い等を設けるよう命令した。

指導事項 労働安全衛生法第20条第1号(事業者の講ずべき措置等) 労働安全衛生規則第101条(原動機、回転軸等による危険の防止)
労働安全衛生法第98条第1項(使用停止命令等)

指導内容2 天井クレーンの年次点検及び月次点検を実施しなければならないことを是正勧告した。また、著しく損傷している玉掛用具を使用してはならないことを是正勧告した。

指導事項 労働安全衛生法第45条第1号(定期自主検査)クレーン等安全規則第34条・同規則第35条(定期自主検査)労働安全衛生法第20条第1号(事業者の講ずべき措置等)クレーン等安全規則第218条(不適格な繊維ロープ等の使用停止)

 

指導の結果 ベルトサンダーのローラーに、覆いが設置された。天井クレーンについて、年次点検及び月次点検を実施し、新品の玉掛用具が整備された。

 

その他の情報に関しては『外国人技能実習生の実習実施者に対する令和2年の監督指導、送検等の状況を公表します』をご覧ください。