【外国人技能実習生】技能実習生の実習実施者に対する労働基準監督署等による監督指導・送検等の事例のご紹介(その3)

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2021年09月11日

【外国人技能実習生】技能実習生の実習実施者に対する労働基準監督署等による監督指導・送検等の事例のご紹介(その3)

労働基準監督署のイラスト

8月27日、厚生労働省が、全国の労働局や労働基準監督署が令和2年に外国人技能実習生(以下「技能実習生」)の実習実施者(技能実習生が在籍している事業場)に対して行った監督指導や送検等の状況を公表しました。

 

その中から、技能実習生の実習実施者に対する送検事例をご紹介します。

 

【送検事例】

 

【事例1】労基署に対して虚偽の報告を行ったほか、証拠を隠滅するため書類を廃棄した疑いで送検

 

捜査経過

縫製業の事業場において、違法な時間外労働の疑いがあったため、労基署が立入調査を実施したところ、事業主から、技能実習生に対して、タイムカードや賃金台帳に記載されている時間以上に時間外労働及び休日労働を行わせている旨の説明がなされた。
しかし、後日、事業主から、調査時の説明は勘違いであり、タイムカードや賃金台帳に記載された内容が正しい旨申立てがなされたことから、正確な事実の確認のため、必要な事項を報告するよう命じたところ、同様にタイムカードや賃金台帳に記載された内容が正しい旨の報告がなされたものの、なおも法違反が疑われたため、捜査に着手した。
捜査の結果、事業主が指導を逃れるために、①実際には技能実習生に対して、時間外労働及び休日労働を行わせていたが、虚偽の報告を行ったこと、②実際の支払賃金について記録した台帳やタイムカードなどの記録を廃棄していたことが明らかとなった。   

被疑事実

実習実施者(法人)及び事業主について

1 労働基準監督署長からの報告命令に対し、虚偽の報告を行ったこと。

違反条文 労働基準法第104条の2第1項・第120条第5号(虚偽報告)

2 労働関係に関する重要な書類を3年間※保存しなかったこと。

違反条文 労働基準法第109条(記録の保存)

※ 労働基準法第109条については、令和2年4月1日より、5年間保存するよう改正されているが、附則第143条の規定により、当分の間3年間のままとされている。

 

【事例2】違法な時間外労働を行わせ、法定の割増賃金を支払わなかった疑いで送検 

 

捜査経過

縫製業の事業場に立入調査を行ったところ、技能実習生の時間外労働に対し、1時間当たり400円程度の賃金のみを支払っており、法定の率で計算した割増賃金を支払っていないことが明らかになった。また、技能実習生に対し、違法な時間外労働を行わせていたことが判明した。(この事業場の36協定については、使用者の意向に基づき労働者代表が選出されていたため、無効なものであった。)

被疑事実 

実習実施者(法人)及び事業主について
1 適法な36協定がないにもかかわらず、時間外労働を行わせたこと。

違反条文 労働基準法第32条第1項・第2項(労働時間)

2 時間外労働に対し、法定の割増率以上で計算した割増賃金を支払っていなかたこと。

違反条文 労働基準法第37条第1項(割増賃金の支払)

 

【事例3】是正勧告を受けた後も、防じんマスク未着用でのアーク溶接作業を行わせた疑いで送検

 

捜査経過

仮設資材の修繕・整備を行う工場に対し、労基署が立入調査を行ったところ、半自動アーク溶接機を用いて足場材などの補修作業を行う技能実習生に対して、適切な呼吸用保護具(防じんマスク)を使用させていなかったことが認められたため、是正勧告を行った。後日、これに対して「もうアーク溶接作業は行わせていない」旨の報告がなされた。しかしながら、再々度事実確認のため監督を実施したところ同様の状態が見られたため送検した。

被疑事実

実習実施者(法人)及び法人役員について
金属をアーク溶接する作業に労働者を従事させる際に、有効な呼吸用保護具(防じんマスク)を使用させなかったこと。

違反条文 労働安全衛生法第22条第1号(事業者の講ずべき措置等) 粉じん障害防止規則第27条第1項(呼吸用保護具の使用)

金属をアーク溶接すると、粉じん(金属ヒューム)が飛散し、これを吸い続けるとじん肺などの健康障害を引き起こすおそれがあることから、事業者は当該作業に従事する労働者に有効な呼吸用保護具を使用させる義務がある。

 

その他の情報に関しては『外国人技能実習生の実習実施者に対する令和2年の監督指導、送検等の状況を公表します』をご覧ください。